若いからって

 荒い息を吐く口、紅潮した首筋から鎖骨にかけて流れ落ちる汗に、少しだけ腰が震える。その震えた腰をさっきまでしっかりと掴まれ突き上げられていたというのに、疲れたのか座り込んで壁に背を預けている彼とは裏腹に、寝転がったままとはいえ比較的元気な自分に内心苦笑が漏れた。これでも一応若いもんね、と言い訳の様な言葉を口の中で呟き、ずるずると彼の足元に這い寄った。
 どうしたね、と不思議そうな表情を見せた彼を見上げてから、膝を立て開かれた股の間に滑り込む。こちらの意図を察知して閉じようとされたみたいだったけれども、こっちは図体だけはでかいから、腰を掴まれていた仕返しとばかりに両膝を掴んで固定してから一仕事終えたばかりで萎れている性器の先端を舌先に乗せて持ち上げ、口内に導いた。
「う、っく、」
 息を飲んだ様な声が頭上から降ってくる。さっきまでこの棹に嵌められていたゴムがすぐそこに転がっており、そのにおいが僅かに残っていて、ただでさえおいしいと思わないものがもっとまずく感じた。でも舌や頬肉に当たる性器が段々硬くなっていくのは楽しかった。
「こ……ら、すぐには、無理、だ、」
「可愛がってるだけです」
「可愛がるだけ、でも、無理……っあぁ、」
「んん……」
 背を預けた壁からゆっくり落ちていく彼の股が、どんどんとこちらの方へ迫ってくる。そうすると、口というより喉へと性器の先端が進入していく。慌てているのか、焦っているのか、精を吐き出したばかりの肉棒を舌で擦ったり吸い上げたりすると、逃げようとして身を捩られた。
「は……あぁ、う、ぁっ……」
 背けた顔がどんな表情をしているのか見たくて性器を解放して覗き込むと、彼の口が唾液に濡れて、僅かな隙間から赤い舌が見えた。ぞ、と腰が、否、体内が戦慄き、夢中で口を塞ぐと、自分より一回り小さい体に跨りながら口の中を蹂躙した。
「ん、ぐ、んんん、んぁ、あ、あぅ、」
 彼は口の中が弱いと知ったのは最近だ。自分から口付ける事が無かったから気が付かなかったけれど、知ってからはたまにこちらから攻める様にしている。こういう時の彼は、言っては何だけどちょっと可愛い、と思う。
「……これだけ硬くなったら良いですよね?」
「若いからって、君なぁ……」
「躾けたのはどなたでしょうね」
「さて、な……」
 既に挿入に差し支えない程に勃起したそれを指で挟み、自分のものと重ねて捏ねる。粘膜が擦れる音が何とも淫猥だ。呆れた様な、こちらの挑発に乗る様なその表情に微かに笑うと、腰を上げて誘って見せた。彼の苦笑は、どこか滑稽なものに見えた。